【イタリア旅雑記 1】イアタリア旅行

2010年5月2日〜8日


飛行機はとても静かにランディングした。ガタンという、タイヤが地面に接地した音と、続いて起こる機体の速度を落とすための逆噴射のゴッーという音ととも に、体が前に放り出される感覚を味わう。無事に大地に降り立てた安堵感につつまれ、窮屈で退屈な時間が終わる。

ここはローマ、フィウミチーニ空港。通称、レオナルド・ダ・ビィンチ空港。
血液がたまった重たい足を引きずるようにして到着ゲートをくぐり、空港内に入る。
預けたスーツケースを受け取り空港からでる。小雨が降る夕暮れの空の下、イタリア、ローマを感じようと、深呼吸しながら五感を研ぎ澄ます。
たいていはその国の色や匂いや雰囲気を感じて、自分が異国の地にいることをを実感する。
しかし、ローマは何も感じるものがない。
騒々しい車のクラクションを耳に感じたり、香辛料を煮込んだような匂いを鼻で感じたり、身体中のすべての毛穴から汗が噴き出すような暑い空気を
皮 膚で感じることもなかった。何もローマの特徴をつかめぬまま市内に向かう車に乗り込む。フリーウェイを走る車からの風景を見ても、とりわけ異国を感じる材 料が見つからなかったが、市内に入ってすぐに、立ち並んだ建物や石が引かれた道路を見て、はじめて異国の地を感じることができた。
ローマは視覚で異国の地に来たということを感じる街だった。

こうしてローマの旅が始まった。

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