【イタリア旅雑記 5】ローマのスリ

2010年5月2日〜8日


イタリアのスリはとても有名だ。実際、この旅でも日本人のご夫婦から、旦那さんはフィウミチーノ空港についてすぐに財布を掏られ、
奥さんはテルミニ駅に着いてすぐ財布を掏られたという話をきいた。二人とも現金を小分けにしていたので、被害は小さかったらしいが、気分がよいものではな い。子供を抱いた女性が近寄ってきて、その子供に興味をもたせ、その隙にスリを働く。
その子供は人形の場合もあるらしい。でもその手のスリは鞄を前に掛けたりするなど注意をしていればそれほど神経質にならなくても問題はない。
ガイドブックでチルコ・マッシモに出没するニセ警官に関するコラムを読んだ。
チルコ・マッシモは、古代ローマ帝国時代の戦車のレース場であり、あの暴君ネロも熱心に応援していたらしい。
いまはその名残のように広い草原が残っている。そのチルコ・マッシモの遺跡には、ニセ警官が出没し、スリを働くというのだ。
その手口はこうだ。見るからに弱そうで、ちょっとかわいそうなおじいさんが、地図を振りながら、「I’m lost!!」と声をかけてくる。
道に迷っているならなんとかしてあげようと、やさしい旅行者なら置き去りにはできず、一緒に地図を眺める。
すると、どこからともなく警官が現れ、イタリア語で、持ち物検査をするという。観光客は何を言われたかわからないが、
地図を持っていたおじいさんが、素直に荷物検査を受けているので、観光客は信用して荷物検査をうけると、財布まで検査され、
その時に高額紙幣だけを抜き取るいう巧妙なスリのグループだ。チルコ・マッシモの南側から、北側に横切ろうと思い、
階段を降りようとして前方をみると階段の途中に、いかにも怪しい二人の男が座っていた。






「もしかしたら、これがあのニセ警官かな」と思ったときに、案の定、背後から地図を持った弱そうなおじいさんが、
「I’m lost ,Help me!」と声を掛けてきた。
「I have no time」とかわすと、「just  for one minute」と執拗だ。
観光客に地元の人間が道を聞くなという意味で「I am a tourist」と言う。
立ち止まったら負けだと思い、自然を装い通りぬけた。
1度も振り返りもしなかったからか、途中からはイアタリア語にかわり、口調にも怒気を帯び、意味はわからなかったが、最後は悪態をついている感じだった。
気弱そうなおじいさんが悪人に大変身である。ガイドブックに載っているほどなのに、いまだに同じ手口で仕事をしているなんて、イタリアらしいかもしれな い。






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