【広島の世界遺産】

広島には2つの世界遺産がある。広島平和記念日碑(原爆ドーム)と厳島神社。ともに1996年に世界遺産に登録された、文化遺産である。

原爆ドームは、日本の世界遺産になかで唯一の「負の遺産」である。チェコ人のヤン・レチェルに1914年に設計され、1915年に「広島県物産陳列館」と して誕生し、1945年当時は「広島県産業奨励館」と呼ばれていた。「原爆ドーム」と呼ばれるのは終戦後のことである。原爆ドームの世界遺産登録を審議する世界遺産 委員会ではアメリカが反対し、中国が賛否保留の立場をとった。アメリカの不支持の理由は、第二次世界大戦を終結させるために已むを得ず核兵器を使用したとい う大義名分が薄れ、アメリカは悪玉というイメージが強くなることを恐れ、原爆投下までの歴史的背景を盛り込むことを要請して審議のやり直しを求めた。一 方、中国は第二次世界大戦中に、侵略や虐殺などつらい経験をした国として、中国からみれば、侵略や虐殺した日本において、平和記念モニュメントが世界遺産 に認められると、日本のそれまでの行為まで正当化されることを懸念したためである。そんな中、残りの19カ国が賛成し、無事世界遺産登録に至った。
 訪れてみると原爆ドームのまわりに大きなビルが立ち並び、原爆ドームの存在感を小さく感じる。

厳 島神社は平清盛によって1168年に建てられた。平安時代の貴族の住宅建築様式の寝殿造りが神社建築に取り入れられた。客神社(まろうどじんじゃ)や東西 廻廊、本殿、拝殿、祓殿など見どころ満載。なんといっても大鳥居は見事である。自重63トン、それに錘(おもり)を加えて、総重量70トン、その重みで 建っている。現在の鳥居は8代目で、7代目の鳥居が倒壊した時には、代わりの木材が見つからず、20年以上も鳥居がない時代が続いたらしい。ちなみに、今 の 鳥居が倒壊してしまうと、9代目を建てる木材はないと言われている。閉門間際に拝観すれば、昼間とは違った電灯がともっ た厳島神社をみることができたり、干潮や満潮によっても様々な景色が楽しめる。1月5日は「地久祭」という行事があり、運よくみることができた。開門は6 時30分で、神事は開門前に行われるので、参拝者はみることができないが、神事のあとに行われる舞楽は見学できる。雅楽が生演奏される中、荘厳な舞をみる ことができた。
 また厳島神社の一部として世界遺産に登録されている弥山(みせん)も見逃せない。ロープウェイを乗り継いで、獅子岩駅まで行き、そこから弥山山頂まで徒歩で登る。
山頂に行く途中には、弥山本堂があり、そこには弘法大師・空海が修行に使った火


が、1200年以上経った今の燃えている「消えずの火」があったり、「不動岩」や「くぐり岩」など山頂に到着すまで飽きることがない。






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