【カンボジア旅雑記 2】  変わってしまったシェムリアップ


TUKTUK に乗ってくりだした繁華街は以前の旅では「バーストリート」と呼ばれていたのだが、この5年間のあいだに「パブストリート」という名前になってた。それだ けならいいのだが、電飾やネオンが増えてどうにも落ち着かない。洗練されたネオンではなく、どこか幼稚で拙い電飾なのでとても違和感を感じる。そんな街を 歩いて、前回、慣れ親しんだ「RED PIANO」で夕食を摂った。
パ ブストリートをふらふらして、旅行中のTシャツを購入するためにナイトマーケットを探す。しかし、ナイトマーケットの看板がいくつも見える。どうやらナイ トマーケットはひとつではないらしい。もともとのナイトマーケットがどれなのかわからず、手じかなひとつでTシャツを買う。Tシャツは値上がりしていて。 4枚買ったら1枚プレゼントという恒例のおまけも廃止されていた。さらに、カンボジアにも偽ブランドの波が押し寄せていた。アバクロやラルフローレン etc。ちゃんとタグもついているのだが、よく見ると律儀に。made in Cambodiaと表記されている。前回の旅では偽ブランドは見なかったのに、がっかり。
 TUKTUKに乗って前回の旅行で宿泊した「サリ ナホテル」に行って、お世話になった人たちに挨拶をしに行こうと思い、ドライバーに「サリナホテル!」というと、一瞬ドライバーの表情が固まった気がした が、「OK! OK!」というので乗り込んだ。しばらく走ると、暗がりでTUKTUKが止まった。「サリナホテル??」と確認すると、「イエース、サリ ナ」と言って暗がりを指さす。暗がりをよく見ると、灯りは消えているが、懐かしいサリナホテルのたたずまい。ドライバーに聞いてみると、サリナホテルは最 近つぶれたととのこと。その時やっとドライバーの表情が一瞬固まった理由を知る。フロントのキンヤや、ドアマンのドアラ、マッサージをしてくれた女の子 は、どこで何をしているのだろう。ここに来ればいつでも会えると思っていたのに、まさかこんなことになっているとは。彼らに会える唯一の場所を失くし、し ばし呆然とする。
もうひとつ、びっくりしたこと。5年前の旅では、TUKTUKのドライバ^−にレストランを薦められた。きっと、客を連れて いくといくらかの収入があったのだと思う。5年たった今回は、一度もレストランを薦めることはなく、5年前のレストランの時よりも必死に薦められたのが、 売春だった。TUKTUKに乗る前から、「女、いい女いるよ」と声をかけ、「いらない」と言ってもかなりしつこく、薦めてくる。「今度言ったら、もう乗ら ない」と脅すまで言い続けた。



TUKTUKを降ると、またその話が始まる。前回の時に、売春がなかったわけではない。きっと、そのような施設だろうなと思われ る建物の前を通ったこともある。でも、カンボジア旅行では、TUKTUKはすべての前線であり、避けては通れない。そのTUKTUKのドライバーが売春を 薦めるとは・・・。そしてその組織に日本のやくざが関係しているという噂もきいた。なんとも残念は話である。
偽ブランドや売春、いいか悪いか でいえば、もちろん悪なんだと思うけど、カンボジアにも人々が住んでいて、豊かな暮らしをしたいと思うのも至極真っ当な想いであって、それを外野からとや かくいうのもおかしいのかもしれない。でも敢えて、外野からの想いを言わせてもらえば、他人と自分を比べることなく、自分に満足していた人々がいるカンボ ジアの変遷を目のあたりにして、心の底から残念に思った。いつまでも、古き良きカンボジアであって欲しかったと切に想う。





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